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臨床工学室

臨床工学室

当院の業務

透析・血液浄化

透析は腎臓の機能が低下した患者さんの体内にある老廃物を人工透析装置にて排泄・代謝を行う治療です。透析室での臨床工学技士の主な業務は、①透析を行うために必要な物品(血液回路やダイアライザーなど)の準備、②人工透析装置への血液回路のセット、プライミング(血液回路を生食または透析液で満たす)③患者さんへの穿刺、透析中の患者さんのバイタル確認、透析終了時の返血、抜針などです。その他にも透析が安全に行えるように④透析に使用する透析液の清浄化⑤透析液を作製する機械が正常に動いているかの確認⑥治療中に人工透析装置のトラブル対応やメンテナンスなどを日頃から行っています。
透析療法の質と安全を担保するためには、清浄化された透析液は必須となります。
当院では、清浄化透析システムにて超純粋透析液を作成・使用しており、関連学会のガイドラインの内容に則した管理を行ってきました。*2019年時点では、日本透析医学会(JSDT) 『2016年版 透析液水質基準』を順守しています。
また透析以外にも、「持続的血液濾過透析」「LDL吸着療法」「血球成分除去療法(LCAP/GCAP)」「腹水濃縮濾過再静注法(CART)」「血漿交換療法」「エンドトキシン吸着療法」などの血液浄化療法に携わっています。

医療機器管理

MEセンターでは、病院内全体でよく使用される医療機器の中央管理を行っています。
使用された医療機器は、使用後にMEセンターへ返却されて清掃、簡易点検を行った後、いつでも安全に使用できる状態で保管して必要な部署に必要な台数を貸出しています。
また特定部署で使用される医療機器も含めて、詳細な点検を行う定期点検や消耗部品の交換、故障したときの修理も行っています。
医療機器使用時のトラブル対処や医師、看護師に対しての安全使用の教育も行っています。医療機器の専門家である臨床工学技士が医療機器と患者さん、医療スタッフの懸け橋となって安全な医療の提供に努めています。

人工呼吸器

ICU(集中治療室)、一般病棟において、患者さんの様々な病態に応じ、必要時に適切な酸素供給と換気補助を行うことを目的に人工呼吸器を使用します。
臨床工学技士は人工呼吸器使用前には、異常が検出されていないか、適切な初期設定値に設定されているかなどを確認し、動作点検を行います。また、使用中には設定値や使用状況に問題がないかを確認する巡回点検を行っています。使用後には機器清掃を実施し、さらに定期点検を行い、日々の安全管理に努めています。
入院中だけではなく、退院してからも継続して呼吸療法が必要な患者さんもいらっしゃいます。このような患者さんに対しては、患者さんご本人とそのご家族に安心して使っていただけるように、入院中から退院に向け、スムーズに移行できるように使用導入のお手伝いをさせていただいております。

心臓カテーテル検査・カテーテルアブレーション

心臓カテーテル検査は、狭心症、心筋梗塞などで血管が狭くなった部分に、専用のバルーンやステント(金属の管)を使用し、狭くなった血管に血液を流れやすくする治療(冠動脈インターベンション)を行います。
心臓電機生理学的検査(EPS)は整脈解析装置により、細かい心内心電図を確認し記録します。 また、診断に必要となる心臓内への直接電気刺激を行い、頻脈を誘発なども行います。確定診断が行われれば高周波装置によるカテーテルアブレーション治療を行います。
私たち臨床工学技士は大動脈内バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS)三次元画像システム(CARTO)などの操作や、清潔野でのカテーテル関連機器の操作や医師の介助を行っています。

ペースメーカー

ペースメーカーは徐脈性不整脈(洞不全症候群や房室ブロック)などにより、心拍数が少なくなることで生じる症状(めまい、失神、だるさ、呼吸困難、むくみ、など)がある患者さんの体内に植え込まれる医療機器です。電気刺激により心臓が収縮するきっかけを与えたり、心臓が動くときに発生する微弱な電気信号を監視したりすることによって、心拍数を適正に保つように働きます。
 私たち臨床工学技士は、1.ペースメーカーの植え込み手術、2.植え込み後に定期的に外来受診される患者さんのペースメーカーの検査(ペースメーカー外来)、3.ペースメーカーの安全管理、などペースメーカーに関係する業務全般に携わっており、医師の指示のもと、プログラマーと呼ばれる専用の機械を使用して、ペースメーカーの検査や設定を行います。

  • ペースメーカーの植え込み手術では、手術中に様々なデーターを測定したり監視したりする役割をしています。
  • ペースメーカー外来では、患者さんの循環器内科外来受診に先立って、ペースメーカーの検査を行います。ペースメーカーの電池残量や作動状態の確認とテスト結果、記録されていた不整脈などのデーターや情報を医師に報告します。
  • ペースメーカーの安全管理では、患者さんに植え込まれた機種や製造メーカーなどのデーターをもとに、他の科の検査や手術を安全に受けられるように立会いを行います。また、当院ではペースメーカーを使用している患者さんに「遠隔モニタリング※」を行っており*、ここでは、患者さんのペースメーカーから送信されてきたデーターを循環器内科医師がチェックしやすいように整理する仕事をしています。

※遠隔モニタリング ペースメーカーを使用している患者さんの自宅などから、専用の通信機器を通じて、自動(または患者さんの手動操作)的にペースメーカーに記録されているデーターや情報をサーバーに送信し、アクセス可能な医療機関がこれらのデーターや情報を閲覧し、診療に役立てるシステム。

*2010年7月以降、当院に新規での植え込みや交換で入院されていて、医師が必要と判断し、ご本人やご家族(および入所されているご施設)の同意が得られた方のみ。

ラジオ波焼灼療法

「ラジオ波焼灼療法」とは、肝臓内の腫瘍に対し経皮的に針を刺し、焼灼・壊死させる治療方法です。肝臓内の腫瘍に対する治療方法には、「肝切除術」と「ラジオ波焼灼療法」がありますが、「ラジオ波焼灼療法」は皮膚表面に小さな針の傷が残るだけで、「肝切除術」よりも低侵襲な治療方法です。
肝臓内に刺した針先端からは、周波数460KHzの電磁波が発生し腫瘍を焼灼します。この周波数が、AMラジオの周波数帯域と同じことから、ラジオ波焼灼療法と名前が付けられました。
臨床工学技士は、機械の操作、針などの物品管理、治療で使用される超音波診断装置などの操作を行っています。さらに、治療時患者情報の管理を行い、医師、看護師と協力し安全な治療を行えるように努めています。

手術室

手術室で使用される医療機器は日々進歩しています。高度化された医療機器を安全に使用するために、毎日1名以上の臨床工学技士が業務に携わっています。
手術・麻酔がスムーズに進行できるよう、手術室の医療機器を点検・管理しています。
使用前に麻酔器やベットサイドモニタが正常に動作するかの点検、手術中に医療機器の不具合が生じたときの対応が主な仕事となります。医療機器以外にも、無影灯や麻酔で使用する物品の点検・管理も行っています。
また、医療機器を用いた手術のサポートを行っています。他に記載されている人工心肺業務、ステントグラフト内挿術の介助、ペースメーカー業務。心臓血管外科や整形外科手術においては必要時に自己血回収装置の操作を行っています。

人工心肺

心臓は肺にて酸素化された血液を全身に運ぶために、休むことなく拍動し続けています。
しかし、心臓の手術をする際には心臓の拍動を止めなければなりません。
肺の代わりに血液のガス交換を行い、心臓の代わりに全身に血液循環を行う装置が人工心肺装置です。全身から戻ってきた血液を患者さんの大静脈から体外へ抜き、心臓の代わりをするポンプにて人工肺へ送ります。人工肺では血液から二酸化炭素を抜き、酸素を加えるガス交換を行います。ガス交換が行われた血液は患者さんの大動脈より体内へ送り全身を巡ります。
心臓の拍動を止めると記しましたが、実際には休んでもらいっています。心臓の拍動を休ませる薬を心筋保護液といいます。心筋保護液供給装置により心筋保護液と酸素化された血液を混ぜて心臓の冠動脈に流すことにより心臓を安全に休ませることができます。心臓の手術が終わった後、休んでいた心臓は拍動を再開します。
人工心肺、心筋保護液供給装置を操作し心臓血管外科医・麻酔科医・看護師と常にコミュニケーションを取り、円滑な心臓手術が行われるように励んでいます。

ステントグラフト内挿術介助

大動脈瘤とは、大動脈がこぶ状に拡張し、正常径の1.5倍以上になった状態をいいます。大動脈の正常径は部位や体格によって異なりますが、胸部で45mm以上、腹部で30mm以上の場合を大動脈瘤とするのが一般的です。
大動脈の外科的治療としては、人工血管置換術とステントグラフト内挿術が行なわれています。ステントグラフト内挿術では腹部大動脈瘤に対する治療としてEVAR(endovascular aneurysm repair)、胸部大動脈瘤に対するTEVAR(thoracic endovascular aneurysm repair)があります。ステントグラフト内挿術の際、清潔野での器材準備や医師介助を業務として行なっています。

概要

取得資格

  • 看護師
  • 臨床検査技師
  • 透析技術認定士
  • 体外循環技術認定士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 第1種ME技術者
  • 第2種ME技術者
  • 血液浄化専門臨床工学技士
  • 呼吸治療専門臨床工学技士
  • 不整脈治療専門臨床工学技士

所属学会

  • 日本臨床工学技士会
  • 新潟県臨床工学技士会
  • 日本呼吸療法医学会
  • 日本不整脈心電学会
  • 日本体外循環技術医学会
  • 日本人工臓器学会

広報誌「なでしこCheers!」に掲載

当院広報誌に掲載されました。

2018年6月号 2017年6月号 2016年3月号

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