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麻酔法について

麻酔科

麻酔法には大きく分けて2つあります。局所麻酔と全身麻酔です。それぞれについて説明します。

局所麻酔について

痛みは皮膚などの局所で生じ、神経を伝って脊髄、さらに脳へと伝わります。この痛みの伝達を脊髄以上の中枢神経に伝わる前にブロック(遮断)するのが局所麻酔です。
局所麻酔はそのブロックする場所により、中枢側から脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)、硬膜外麻酔、伝達麻酔、表面・浸潤麻酔に分けられます。このうち麻酔科が大きく関与するのが前者の2つです。前2者では血圧など全身への影響が大きいため全身の管理が必要です。

脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔・腰椎麻酔)

脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔・腰椎麻酔)は腰部脊椎(背骨)の近くより針を刺して脊髄の近くの髄液中に局所麻酔薬を注入する方法です。神経が脊髄に入る部分で痛みの伝達をブロックします。下半身を主とした鎮痛が得られ、主に下腹部や下肢の手術で使われます。

硬膜外麻酔

硬膜外麻酔は(頚~)胸~腰部の脊椎(背骨)の近くより針を刺し、硬膜(脊髄およびその周囲の髄液を覆っている袋状の膜)の外側に局所麻酔薬を注入する方法です。神経が硬膜を貫く部分で痛みの伝達をブロックします。針を刺す部位によって(頚~)胸部~下肢での限局された部分の鎮痛が得られます。単独でも使われますが、胸部や腹部の手術でよく全身麻酔と併用されます。
またこの方法は細い管を硬膜の外に留置することで局所麻酔薬を長時間にわたって投与することができるため術後鎮痛の手段としても有効です。

全身麻酔について

全身麻酔は薬剤を使って意識を無くすことで手術を可能とする方法です。全身麻酔の要点は以下の4つです。

  1. 意識がない
  2. 動かない
  3. 痛みがない
  4. 有害な反射が抑えられる

麻酔科医は麻酔薬、鎮痛薬、筋弛緩薬等の薬剤を組み合わせて使用し、これらの条件を満たす麻酔状態を作り出します。
この他に重要なこととして全身管理があります。普段私たちは意識することなく呼吸していますし、心臓や血管は意識せずとも身体の置かれた状況に合わせてその動きを変化させています。その他の臓器も沈黙のうちに自らの機能を調節しています。ですが麻酔がかかった状態ではこれらの自律的な調整がうまく働かない場合があります。そのため麻酔をかけられた患者様に代わって呼吸、循環(心臓・血管等)、代謝他の全身管理を行うことが必要になります。前述の条件の他、この全身管理を含めて全身麻酔管理ということになります。
全身麻酔に用いる薬剤は点滴を通して静脈内に投与される薬と、呼吸を介して肺から吸収される薬があります。どちらもその投与量や濃度を調節することで手術の状況に合わせた麻酔の状態を得ることができます。手術中は常に麻酔薬が投与されていますので、途中で麻酔が切れることはありません。

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