宗教的輸血拒否に関する指針
輸血実施に関する基本方針
輸血治療が必要となる可能性がある患者について、18歳以上・15歳以上18歳未満・15歳未満の場合に分けて、当事者の医療に関する判断能力と親権者の態度に応じた対応をとる。
医療に関する判断能力は主治医を含めた複数の医師によって評価する。
【年齢区切りの基準】
※ 児童福祉法 第4条 「児童」とは満18歳に満たない者をいう。
※ 民 法 第797条 養子となる者が15歳未満である時は、その法定代理人がこれに代わって、縁組の承諾をすることができる。
※ 民 法 第961条 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
1)当事者が18歳以上で、医療に関する判断能力がある場合(当事者は輸血拒否の確固とした意思を持っている場合)
(1)医療側が、無輸血治療を最後まで貫く場合
当事者は、医療側に本人署名の「輸血拒否と免責に関する証明書」を提出する。
医療側は、輸血治療は行わない。
(2)医療側が、無輸血治療が難しいと判断した場合
当事者も輸血を拒否しており、医療側も輸血治療は行わないので、当事者に早めに転院を勧告する。
2)当事者が15歳以上18歳未満で、医療に関する判断能力がある場合
(1)当事者と親権者の両者が輸血を拒否する場合
1)に準ずる。
(2)当事者は輸血を拒否するが、親権者は輸血を希望する場合
その時は、親権者から輸血同意書を提出してもらう。
(3)当事者は輸血を希望するが、親権者は輸血を拒否する場合
当事者から輸血同意書を提出してもらう。
3)当事者が18歳以上で、医療に関する判断能力がない場合
当事者が15歳未満の場合
(1)親権者の双方が拒否する場合
その時に、親権者の同意が全く得られず、むしろ治療行為が阻害されるような状況と判断した場合は、
児童相談所に虐待通告し、児童相談所で一時保護の上、児童相談所から親権喪失を申し立て、あわせ
て親権者の職務停止の処分を受け、親権代行者の同意により輸血を行う。
(2)親権者の一方が輸血に同意し、他方が拒否する場合
親権者の双方の同意を得るよう努力する。
その時は、輸血を希望する親権者の同意に基づいて輸血同意書を提出してもらい、輸血を行う。
輸血療法のインフォームド・コンセント
1) 医療側は、当事者または親権者に、輸血療法に関わる下記の項目を十分に説明する。(1)輸血療法の必要性
(2)使用する血液製剤の種類と使用量
(3)輸血に伴うリスク
(4)副作用・感染症救済制度と給付の条件
(5)自己血輸血の選択肢
(6)感染症検査と検体保管
(7)投与記録の保管と遡及調査時の使用
(8)その他、輸血療法の注意点
2)「輸血同意書」または「輸血拒否と免責に関する証明書」を作成した場合、一部は当事者または親権者に渡し、一部は診療録に保管する。
3) 自ら、輸血拒否に関する同意書を持参した場合は、持参した用紙を使用可とする。取り扱いは2)と同様に取り扱う。
4) 医療側は、当事者または親権者から、輸血の同意が得られない場合は、基本的に輸血をしてはならない。
主治医または担当医が緊急事態で判断が困難になった場合の対応
主治医または担当医は、院長に連絡をとり、判断を仰ぐ。
院長に連絡がとれない時は、副院長を代行として、判断を仰ぐ。
また、可能であれば、主治医または担当医の診療科責任者医師に連絡をとり、判断を仰ぐ。