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「視覚障害者の求めた"豊かな自己実現"―その基盤となった教育―」

案内:第229回(15‐03月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会 岸 博実

演題:「視覚障害者の求めた"豊かな自己実現"―その基盤となった教育―」
講師:岸 博実(京都府立盲学校教諭・日本盲教育史研究会事務局長)
日時:平成27年03月11日(水)16:30 ~ 18:00 
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来 
http://andonoburo.net/on/3434

 済生会新潟第二病院眼科で、1996年(平成8年)6月から毎月行なっている勉強会の案内です。参加出来ない方は、近況報告の代わりにお読み頂けましたら幸いです。興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。

抄録

 日本の盲人は"記憶"と"手技"を駆使して職業を獲得してきた。徳川時代には「自治」を経験し、教育機関も設けた。明治以降の盲教育は、西欧の知見に触発されつつ、日本的な特性を持って構築された。教育目的に掲げられた「自助」論を問い直す必要があろう。
 まず、明治以降の<教育権>思潮を小西信八の言説と教員組織の営みを通してなぞり、「盲・ろう教育の義務化と分離」が希求された経緯と、特別支援教育の課題を考える。
 次に、視覚障害当事者の営為を振り返る。好本督や鳥居嘉三郎による「同窓会」・「日本盲人会」の結成が点字新聞等の発行へとつながった。高等教育を志した青年の先駆性、木下和三郎『盲人歩行論』の先見性にも光を当て、「自己実現」追求の意義を確かめる。
 さらに、「人類の文字が東西ともに凹字から始まったのはなぜか」の考察を入り口に、「紙と平らな文字(墨字)」時代の明と暗をみつめ、凸字から点字へと飛躍した画期的な展開をおさえる。「文字の世界の新人」である点字の魅力と将来像を吟味する。
 最後に、新潟ゆかりの先人たち-小西信八が示した点字を最初に読みこなした小林新吉、高田訓矇学校を興した大森隆碩たち、『玄海』(辞書)や『内国地図』(教科書)を点訳した東京盲唖学校訓導・大森ミツ-に思いを馳せたい。
 <高田盲学校史料>の中から埋もれた希少資料を紹介し、新潟の視覚障害教育史資料の保存及び活用への期待を述べたい。

略歴

1972年(昭和47年)   広島大学教育学部卒業
1974年(昭和49年)~  京都府立盲学校教諭
2011年(平成23年)~  点字毎日・点字ジャーナルに盲教育史連載 
2012年(平成24年)~  日本盲教育史研究会事務局長
2013年(平成25年)~  滋賀大学教育学部非常勤講師
          6月 盲人史国際セミナーinパリで招待講演を担当
2014年(平成26年)7月 第23回視覚リハビリテーション研究発表大会で
              教育講座を担当

ネット配信

 今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。下記のいずれでも視聴できます。

http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai 
http://nitsc.eng.niigata-u.ac.jp/saiseikai/

 当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。

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