報告 『新潟ロービジョン研究会2010』   3)参加者の感想1 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 国立病院視能訓練士 埼玉県   今回のテーマ「『見えない』を『見える』に」は、字義通りの視機能の面からの意味と、もう一つの意 味が含まれていたように思います。それは、フロアから発言された方の「見えなくなったけれど、先の見 通しが立った」という言葉に象徴されていると思います。私達の仕事は、その双方をサポートすることな のだと改めて感じました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 視能訓練士 山形県  この度は研究会に参加させていただきありがとうございました。 教育や福祉関係の先生方のお話しはとても新鮮で刺激を受けました。網膜変性の治療については、現在 自分が携わっている患者さんから相談を受けていた内容でしたので、ここまでの経過(成果)と今後の展 望を聞くことが出来て、とても参考になりました。またシンポジウムは、各分野の先生方の体験談をお聞 きして、貴重な時間を過ごさせていただきました。最後に安藤先生がまとめられた「苦しみを共有、共感 しなくてならない」という言葉が僕の中に強烈に残っています。 研究会に参加させていただいたことで、最新の情報が得られましたし、専門の先生方との交流ができた ことが、今後ケアを行っていく上で大きな収穫となりました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 眼科医 新潟市   今回も充実した研究会でした。どの方の講演も勉強になりました。地元勢の林先生、田中先生のお話を お聞きしてこうした熱意ある先生方と眼科はどんどん連携していくべきだとあらためて思いました。山本 先生のお話をお聞きし、ウノプロストンの保険認可について予想外に短い期間に射程を定めておられるこ とに驚くと同時に頼もしく思いました。 永井さんのお話も印象的でした。  近年、プログラムが充実しすぎて講演や質疑が十分できないことも多かったですが、今回は丁度良かっ たように思いました。 来年もまた勉強させてください。宜しくお願い致します。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 当事者  新潟市  最近中途視覚障害になったばかりの友人を伴って参加しました。数年前に退職し、年金生活の一人暮ら しの女性ですが、今後の生活に非常に不安を感じていましたが、研究会に参加して少し元気をもらったと の事でした。しかし、人生の後半で障害を持って一人で生きて行く事は本当に不安な事なんだと思い知ら されています。ひとつひとつの心配や不安を、どう解決したら良いのか?何処の誰に相談したら良いの か?全く手探りで、たまたま知り合いだったので研究会に誘う事も出来ましたし、問題解決の相談に乗る 事も出来ますが、多くの中途障害の方々は情報も無く途方にくれているものと思います。行政や臨床な ど、様々な分野での広いネットワークを作る事と、知らせる手段が必要と思いました。  今回、沢山の方々が参加したことに驚きましたが、それだけニーズがある事、それを上回る知らないで 閉じこもっている人がいるであろう事を危惧しながら、このような輪が草の根のようにしっかり広く根付 く事を期待します。まずは、眼が不自由である事を自ら受け入れ、他に知らせ、支援をし合える環境が必 要と思います。次に自身の生活が成り立つようなツールの情報や、行政の制度を知る機会も整備してほし い事だと思いました。  視力を失う事は、非常に多くの情報源を失う事ですので、医療機関や行政サイドから積極的な情報提供 をしていただかないと、自分がどのように自立していったら良いのか、すべが無いというのが実情ではな いでしょうか?患者家族として、過去の経験からもそのように思います。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 社会福祉関係 仙台市  ロービジョン、すなわち慢性の身体機能低下を持つ人への支援には医療の専門職も必要だし、生活や教 育など多様な職種のスタッフも必要だし、当事者経験を持つ人が先輩(お手本)の1人としてかかわるこ とも必要だということを示しているプログラムであり、内容だったように思います。治療の分野でも視機 能評価の方法でも、年々新しい知見や提案がなされていますし、ICT関連でも性能や技術の変化がどんど ん進んでいます。そのためにも支援にかかわる人が、「現在自分が持っている知識や経験」に満足するこ となく、情報を得ていくことが大事だと改めて痛感しました。ほかの方の実践を聞いて「そのやり方、使 わせてもらおう!!」と思う人がどんどん広がると、お互いのいいとこ取りが少しずつ広がるんだろうなと 思います。そんな思いを共有している人たちが「呼んでもいないのに遠くから来る」ということになるん でしょうね。  (当たり前のことですが)ロービジョンケア、ロービジョンサポートは、その患者(患児)一人ひとりに とって必要なことは何か、どういう支援や働きかけをしたら生活機能の維持、向上に結びつくのかに始ま り、終わるのだと思います。そのために考えないといけないことはまだまだたくさんあるように思いま す。ただ、やみくもに慌てても仕方がない……。でも、少しずつでもいいからやっていくことが必要。と いうことで、今後ともご指導、ご助言、いいとこ取り、よろしくお願いいたします。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 新潟大学 工学部教員  山本先生のご講演は、自分が普段読む学術雑誌では知り得ない大変貴重なお話でした。新聞・雑誌・ ニュースが伝えるよりも新しい情報を、新聞・雑誌・ニュースよりも詳しく知ることができました。医学 系の専門雑誌や学術講演よりも一般向けに分かりやすく話してくださいました。講演会という限られた場 所ゆえに、患者の方の話や臨床試験へのお考えを本音でお話下さいました。  昨年度の高橋政代先生のお話といい、治療の最前線に関する興味深いお話を、こんなに手軽に聞くこと ができることに対して、改めて感謝いたします。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 機器開発メーカー  当日は、妻の誕生日でした。この数年はプレゼントもパスしてしまうこともありましたが、今年はこの 「新潟ロービジョン研究会2010」に参加したくて、1週間前にはプレゼントを渡し、駆けつけました。  講演いただいた方々のお話は、大変勉強になりました。そして、日頃の活動の方向性を確認すること になりました。また、アプローチはそれぞれですが、同じ目的をむけて活動されている方々と歓談する ことができ。私にとっては年に1度の得がたい時間でした。ありがとうございました。  妻の機嫌も、まずまずで、ひと安心です。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 製薬メーカー  視野や視力が不自由であっても、何事もなかったように振る舞う様子・強靭な精神力をお持ち の方がほとんどだということに改めて驚愕しました。そのようになるまでに紆余曲折あったと思い ますが、生き抜く力の強さを実感させられる研究会だったと思います。  自分が生きているうちにできることは何なのか、深く考えさせられる研究会であったと思います。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 視能訓練士 東京  貴重な経験をさせていただきました。  大きな大学病院に勤務していると患者様側の声を聞く機会がない上、なかなか反省する機 会もなくなっていくので、反省すべき点を改めて考えさせられるとても有意義な会となりました。  我々視能訓練士ができることは本当に微力で、自分がやっていることが患者様のためにな っているのかと常に悩みながらしています。  それでも何らかの御手伝いでできると信じて、これからも邁進していきたいと思います。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 当事者 新潟市  私は、最近5年間毎年本研究会に参加させていただいております。毎年研究会のテーマを変え開催して くださいまして楽しみにしています。  今回の研究会で一番興味のあったのは山本先生の講演でした。私自身が網膜色素変性症で病気が進行し ほぼ全盲の状態であるためです。これからどうなるのか?、治療法は開発されるのだろうか?、子供・孫 に遺伝しないだろうか?などと心配が尽きないからです。出来れば一度で良いから孫の顔を見てみたいな どと常に考えているからです。そんな中で今回の山本先生の講演で私達の病気に効果のあるかもしれない 薬が、あとわずかで投薬できるということを知り目の前が明るくなったような気がしてきました。生きる 張り合いが出てきたという感じです。もし安藤先生が私にモルモットになってくれと言われればいつでも なろうと思いました。色変の人はみんながそのような気がしたのではないかと思います。病気のある人に は、心の楽しみや張り合いのあることが日々の生活に一番大切であると思っています。本当にありがとう ございました。  尚、その他の先生方や演者の皆様、研究会に参加の皆さんの色々の意見や発言が大変参考になりまし た。次回もまた是非参加したいと思いました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 当事者 兵庫県  私は22年前に網膜色素変性症と診断を受けました。当時まだ矯正視力は(1.2)ありました。その後 徐々に視野、視力が落ち、7年前に視野で障害者2級となりました。それでも、矯正視力0.6くらいありま した。そして、JRPSに入りました。何かするのならその中心に入るのが一番よく判ると思い、平成16 年よりスタッフとして活動をしています。この7年間で毎年視力が0,1ずつ下がり、現在は両岸共(0.01) です。だんだん見えづらくなって行く中、拡大読書機や音声パソコン等、便利な道具や、色んな工夫をし て、出来なくなった事をまた出来る喜びも感じてきました。  ただ、私はそれを眼科でロービジョンケアとして受けたことはほとんどありません。ほとんどがJRP Sの活動の中で色んな会やたくさんの視覚障害者の先輩に教えてもらって自分で手探りでつかんできた、 という感があります。ロービジョンケアという言葉を知って、どんな事をしてもらえるんだろう?と4年 くらい前に一度受診したことがあります。0,3くらいの視力があったので、ルーペを探していたのです が、使い易いルーペを処方してもらうことはできませんでした。ロービジョンケアの大切さは頭では判っ ているつもりでしたが、実感として感じていませんでした。視能訓練士さんはいったい何をしてくれるん だろう?そんな気持がありました。  今回、参加させていただき眼科医の先生方や様々な分野の方々の視覚障害者の自立や社会参加に対して の熱い思いを聴かせていただき、もう一度ロービジョンケアをちゃんと受けてみたいと感じました。6年 前に購入した拡大読書機が使いにくくなってきています。私自身の現在の見え方でどんな機種をどのよう に使えばもっと快適に暮らす事ができるか・・・そして、それが実感出来ればJRPSでも皆さんにロー ビジョンケアの大切さをお伝えすることができると思います。  ロービジョンケアに対する漠然とした気持がすっきりと見えたような気がしました。ロービジョンケア をサポートしてくださる方々がたくさんいて、不自由を感じている視覚障害者がたくさんいて、その間を 繋ぐのは眼科や学校の先生方であり、福祉の窓口であり、そして私達患者団体であると思います。  これからも自分の見え方をあきらめずに明るく元気に生きていきたいと思います。今回、熱い思いをお 話してくださった皆様、そして、私につきあってくれた娘に感謝です。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 当事者 新潟市  あまりにも 前向きなお話をたくさん聞かせていただいて、どう感想をまとめたら良いのか わからないまま時がたってしまいました。すばらしい先生方が中身はすごい内容なのに、 楽しそうに和気あいあいと……とても充実した時間を過ごさせていただきました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 点字出版所勤務 東京  今回初めて参加させていただきました。時間の関係で前半のみ拝聴し後ろ髪引かれる思いで退席しまし たが、小一時間の間に感じたことは、まず、この勉強会は医療・福祉の現場・研究の第一線で働いている 先生方、患者さん、支援者、様々な立場の方が一堂に会するため、最先端の医療や研究・福祉の実践など についてホットな話を伺う一方で、それらへの率直な感想や要望なども聞くことのできる、大変有意義 で、しかしながらアットホームでとても居心地の良い会だったということです。立場を殊にする方々が率 直に話をできることは、「お互いに」様々な発見や深い理解につながりますし、それが明日への力・意欲 になりますから。  私個人としては、大学というとどちらかというと机上研究中心というイメージがあるのですが(大学関 係の方、失礼な偏見で申し訳ありません)、新潟大学の林先生は先頭をきって地域でのサポートを実践さ れ、ニーズに応じた機器を開発し、それを現場で実用していくという活動をされているとのこと。なるほ ど、技術はそのように活かしていくものかと、とても驚き、感激しました。林先生のような元気のある先 生が近くにおられると、とても心強いことと思います。年々徐々に利用が伸びていると伺いましたが、今 後ますます情報の周知徹底を図られ、是非ともニーズを国に認めてもらい確かな財源をもって、最先端機 器・技術を応用され安定した支援活動に邁進していただけますよう、願っております。先の心配をしてい ても明日が開けないとばかり林先生が生き生きと明るくていらっしゃるのも救いですね。私ももっと何か しなければと歯がゆい思いもしました。  千葉大の山本先生はとても分かりやすい言葉で網膜変性治療の最先端の話をしてくださり、とても興味 深く拝聴いたしました。学会発表などは専門用語だらけで素人にはさっぱり分からない。その点、今回は 不特定多数様々なジャンルの方々の聴講を意識してくださったということで、新薬認可のこと、医療現場 の事情なども聴かせていただき、俗っぽい言い方をすれば、とてもお得な感じでした。  「ロービジョンという概念が広がりを持てていない」という東女の小田先生のお話では、幾つかの問題 点(どうしたらより意識のバリアも取り除けるかなどといったこと)を整理して挙げてくださいました、 これらはとても大事なことだと思いました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 眼科医 栃木県  素晴らしい研究会を、ありがとうございました。  林先生のご講演は、眼科医の立場ではなかなか聞くことのできない内容でした。「知られていないから ニーズがない」→「だれもが行く学校と病院で宣伝しよう」という発想と、その行動力に、胸をうたれま した。  山本先生のご講演を拝聴して、なかなかうまく説明できない「近未来の治療法」について、患者さんに どのように説明すればよいか、が分かり、聞けてよかった!と心から思いました。  小田先生のご講演では、「ルーペを紹介しているだけではないか」という問いかけに、ハッとしまし た。ルーペを紹介しているだけでもマシ、と思っていたのですが、正しく使えるように、さらなる努力を するべきだと思いました。  シンポジウムも、どれも、シンポジストの先生の熱意がビシビシ伝わってくる発表ばかりでした。  それにしても、このように、多業種の集う研究会が開けるとは、新潟県の医療福祉は、素晴らしいです ね。自分(もしくは家族)が目が不自由になったら、まずは新潟県に移住したい、とさえ思いました。で も、私は、栃木県で働いているので、本当は、自分(もしくは家族)が目が不自由になったら、栃木県に 住みたいと思えないとだめですよね(^^ゞ。  急きょ帰りに病院に寄ることになりました。そのため、後片付けをしないで帰ることとなり、申し訳あ りませんでした。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 当事者 長野県  新潟ロービジョン研究会に参加させていただき有難うございました。私はJRPSに関係しておりまして長 野県支部の患者交流会で情報交換しております。済生会新潟の企画が大変参考になり講演された気賀沢先 生には早速総会にて講演していただきました。患者のなかにはうつ病の方も多くこれからも精神科の先生 のお話を聞きたいと思っています。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 男性 新潟市  今回の研究会のテーマが「見えないを見えるに」でしたが、このテーマと講師の方々の話を聴いて、初 めて「ロービジョン」または、「ロービジョンケア」に対する概念を良く理解することができました。  今まで、私は「ロービジョン」とはあくまでも医学的に視覚障害に対して改善のための治療を行うことか と漠然と理解していました。  今回のテーマ「見えないを見える」にするには、医学的な根本治療だけでなく、福祉や教育の面も含め て総合的に、視力障害の方々がQOLを持って社会的に自立する事を支援する事、それが「ロービジョ ン」だと理解できました。今回の講師の方々の話から、医学のみならず、工学(補助具の開発)、心理学 (コミュニケーションの取り方)、福祉関係、などの幅広い分野の研究者が視覚障害者の「見えないを見 える」にするために努力をしていることが分かりました。また、医学的な治療についても千葉大学山本修 一先生の網膜色素変性症の最新の治療についての話が興味深く思いました。この治療の研究も日々進歩し ており点眼による改善など、安全な治療法の確立も近いのではと感じました。  これだけの優れた講師の方々が新潟の地に来られ、一般に開かれた研究会を開催された関係者の皆さん に敬意を表する次第です。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 視能訓練士 富山県  「障害者が支援機器を活用できる社会に」(林 豊彦)の発表内で、新潟市の調査結果では拡大読書器 やスクリーンリーダーといった視覚補助具を知らない障害者の方が80%を超えることを知り、認知度の低 さに驚きました。iPadのような新しい製品が教科書を読む補助具としても活用できることが目から鱗でし た。 障害者の方の意欲に対する情報提供や技術を活用するための周辺環境の工夫を提供することは、当 事者の自立やコミュニケーション能力の向上 に繋がるのだなと思いました。当事者と医師だけでなく、 理学療法士や作業療法士、ソーシャルワーカー、言語聴覚士、臨床工学士、製品会社など色々な方との連 携が求められる場合もあるとわかりました。  当事者の方に視力や視野などの見え方についてきちんとお伝えすることが大事なのだなと思いました。 自分の見え方を理解することで、自分でできる範囲と周りの人の手を借りたい範囲の区別が可能になるこ とや、新しいニーズの発掘に繋がるのではないかと思いました。  視覚以外の触覚や聴覚などの感覚を利用するという点で歩行訓練時のパンジーのエピソードが印象的で した。残存している視覚を補助具で支援することの他に、他の感覚を活用することも当事者にとって“で きる・分かる”物事を増やすポイントの1つなのかなと思いました。  ニーズの発掘するためにも、まず“知らないものを知ってもらう”情報提供を行うことが始点になるこ とが分かりました。その後に具体的な生活のニーズやQOL評価を行い、自分の目の事を知ってもらうこと や補装具の選定やニーズに即した情報提供に繋げて、細やかなフォローアップを行うことが大事なのだな と思いました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 大学職員 新潟市  「新潟ロービジョン研究会2010」とても勉強になりました。 ありがとうございました。 いろんなお 話が聞けて良かった、だけではなく、今後の仕事に活かせるよう頑張りたいと思います。  小田先生のお話にもありましたが、‘ロービジョン’と言う言葉が社会的に認知度が低い事を知りまし た。実は私も最近まで知りませんでした。。。。小田先生の講演は、視覚障がいの事をあまり知らない私 にもわかりやすく聴く事ができました。後半の当事者、盲学校の先生といろんな立場の方たちのお話も、 とても興味深く聴かせていただきました。  また機器展示は、実際手に取り使ってみることができ良かったです。意外に、使い方が難しい事がわか りました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 盲学校教諭 高知県  全体的な感想として地元の当事者をはじめ、全国から140名余の方々が参加されていることに驚くと ともに、嬉しく感じました。なぜなら、当然今回の研究会のテーマに関して多くのニーズがあるというこ とはもちろんですが、ここに来られた皆さんが各々の立場でロービジョンの問題に真剣に取り組まれてい るパワーを感じたからです。このことは夜の研究会(?)においての一人ずつのスピーチにもあらわれて いたと思います。  このような会を開催されるということは、何よりも毎月の新潟ロービジョン研究会の地道な努力の成果 であり、「継続は力なり」という言葉を実感させられました。  講演・シンポジウムに関してですが、特に各方面で当事者と関わっているシンポジストの方々の言葉に 印象に残るものがありました。まず稲垣氏からは相談活動で接している当事者から「〜ならできる」でな く「〜ができない」という言葉が大半だということ。永井さんの地域支援事業での「支援する側は話しす ぎない方がいい」ということ。田中先生の「適切な支援」によって「見える=わかる=本人の意識が高ま る=自信がつく」という流れができるということ。そして柳澤先生の「本当の自分の見え方を知ることの 大切さ」そしてそのためには医師からわかりやすい説明が必要・・・など、決して新しい内容ではありま せんが、支援する側で絶えず意識しておかなければならないことが刻まれていたように思います。  私は、日頃教育の立場で視力障害のことを考える機会が多いのですが、「一人ひとりの児童・生徒を大 切にする」特別支援教育の中では、教員の認定講習等ですべての先生にこのような内容を聞いてほしいと 思いました。また、日常生活の大半を中途視覚障害者と過ごす私にとって、今回のテーマ「『見えない』 を『見える』に」ということは、単に視力のことだけでない当事者の心の中の問題であると実感し、そし て私は毎日その「心の中の問題」と取り組んでいるのかもしれない・・・と感じました。  特に小田先生の「患者を主体にしたインフォームドコンセントの必要」に対し、吉野先生が「視力表か らのものだけでなく、QOLにてらした示唆も必要」とコメントされていましたが、当事者にとって日常 生活で「何ができるか」という問題は生きることの意味に通じているのだということを改めて実感しまし た。 幸いに高知県では十年にわたる活動により、今春はじめて眼科医の勉強会に「福祉・教育領域の内容」を 入れていただき、吉野先生をはじめ日常生活訓練指導員や教員が自分たちの職務や支援の内容を説明する という機会をいただきました。今後、新潟ロービジョン研究会のような会が各地で開催されることによ り、さまざまな領域の連携がすすみ、より質の高い支援が提供されることは皆の望むことと思います。そ のためにもこの会を今後の指針とさせていただきたく、機会あるごとに参加させていただこうと思った次 第です。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 自営業 新潟県長岡市   私が今回の研究会で最もインパクトがあったと思う演題は、小田さんの「ロービジョンで見えるように なる」でした。  小田さんは講演冒頭「これから話す内容を不快に感じるカタもおられるかも知れません」と前置きして 「ロービジョンは流行らない」と現在のロービジョンケアの批判をすることから始め、ロービジョンケア が広く認知され、社会の中で生きた活動となるヒントを提示されました。まとめとして、ロービジョンと は見えない眼をさすのではなく、見えない人を見えるようにすることであり、治療によらないビジョンの 改善である。中心となるのは眼鏡やコンタクトの処方と同程度のロービジョン補助具の専門的選定と処方 であると結ばれました。  小田さんが指摘されるようにロービジョンという言葉は確かに流行っていないと思いますし、ロービ ジョン者も認知されていないのは事実です。けれど、それとロービジョンケアの質は関係無いと思いま す。新潟大学付属病院眼科ロービジョン外来は2ヶ月先まで予約でいっぱいだと聞いています。  私が、この研究会に参加する度に思うことはロービジョンケアの対象者は誰かということです。ロービ ジョンは残存している視機能にレベルがあり、ADLが困難な重度のカタから、ADLはほぼ問題は無いけれど も、就労となると問題ありというレベルのカタまで幅が広く、医学的には量的な数値の違いでしかないこ とも、生活上の問題はレベルにより全然違う、つまり、同じロービジョンでもレベルによりニーズが違 い、文字の読み書きが常にニーズのトップにくるとは限らない。つまり、小田さんが考えるようにルーペ や拡大読書機の選定、処方が中心になるロービジョン者は限られるのではないでしょうか。  私は数年前、新潟県主催の「医療と健康福祉懇談会」のメンバーでした。この時に事務方から多くの資 料が提示されましたが、この中に身体障害者手帳保持者の年齢別、年度別の内訳を示した表がありまし た。これによると2005年度で身体障害者手帳保持者の約64.3パーセントが65才以上で増加傾向にありまし たから、現在は70パーセント近くになっているものと予測されます。視覚障害についてもまったく同じ傾 向があるとはいえませんが、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などが増加傾向にあることから、恐らく同じ ような数字になると思います。この数字が示すように中途視覚障害者の増加は深刻であると思います。け れど、私は残りの35パーセントの人たちをもっと考えていく必要を感じます。  正確なデータがあるわけではありませんが、1970年代に比べ現在は、視覚に障害があっても地域の学校 に通うケースが増えているのではないでしょうか?そういう人たちの中には障害者や盲学校という言葉に 抵抗があり、障害者手帳の交付を受けていない人も必ずいると思います。進学や、就職、結婚、人生の大 切な時期を「目が悪いこと」にとらわれて過ごしている人に、ロービジョンケアの必要性を唱える人たち の情熱は届いているでしょうか?盲学校には抵抗があるけれど、ロービジョン外来なら抵抗なく相談でき るのではないでしょうか?こういったロービジョン者はルーペや拡大読書機よりも別なアプローチが必要 になり、面倒なケースになるかも知れません。でも、見捨てて欲しくありません。  視覚障害の前に人間がいます。その人のパーソナリティがあります。彼らは、それぞれにオリジナルな 方法で自分の可能性を実現していこうと、ちいさなちいさな努力のつみ重 ねをしています。ロービジョンケアは視覚障害という言葉を可能性という言葉に置き換える力を持ってい ると信じています。  今回も素晴しいプログラムを用意していただいて有意義な研究会でした。安藤先生、張替先生をはじめ 運営スタッフのみなさん、ありがとうございました。暑い中、全国より参加されたみなさん、ご苦労様で した。