安藤@済生会新潟です    済生会新潟第二病院眼科勉強会の報告です。参加できない方も、近況報告の代わり にお読み頂けましたら幸いです(長文です)。  報告:第198回(12‐08月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会   「左目のケガから教えてもらったこと〜発想の転換活用法〜」       内山 博貴 (特別養護老人ホーム介護職員;新潟県村上市)     日時:平成24年8月8日(水)16:30 〜 18:00      場所:済生会新潟第二病院 眼科外来    【講演要約】  発想を転換し、前向きに生きていくにあたって、もっとも基本的で、それでいてな くてはならない考え方があります。それは「自分の身に起こる全ての出来事は、全て いいことである。」という考え方です。要は、過ぎた事をくよくよ悩まず、次をどう するか考える事が大切なのです。くよくよ悩む時間と労力があれば、次の事を考える 時間と労力にした方がいいのではないでしょうか。失敗した場合は次に失敗しないた めにはどうしたらいいかを考え、悪いことがあった場合にはそこから自分が学ぶべき ことはないかを考える。これが楽しく生きていくための発想の転換です。  どのようにしたら前向き発想転換ができるようになるでしょう?ポイントは3つあ ります。   1.発想を豊かにして常に選択肢を多く持つようにする。   2.物事をより具体的に考えるようにする。   3.1つの事を多角的にみるようにする。  この3つができれば、発想の転換は完璧です。  1.「発想を豊かにして常に選択肢を多く持つようにする」  日常の会話の中で相手に返す返事を多く用意して、その中から自分で選択して返す ようになることがいい訓練になります。  例えば、友人が「昨日彼女とケンカしたんだ。」と落ち込みながら言ってきたとし ます。あなたはどのような返事をしますか?深刻な様子であれば「どうしてケンカに なったの?」や「愚痴ならいくらでもきくよ。」と親身になって聞こうとし、深刻そ うでなければ「もしかして○○でケンカした?」「どーせお前が悪いことしたんだ ろ?」と親しいからこそ言える返事もできると思います。ガラッと話題を変えて「そ んな時はまずぱぁ〜っと飲みに行こう。」や「とりあえず遊びに行こうか?」という 返事もいいかもしれません。もし、あまり親しくなければ当たり障りない返事しか できないかもしれません。  お気付きの方もいらっしゃると思いますが、これが全て選択肢です。「昨日彼女と ケンカしたんだ。」という言葉に対して、深刻であろうがなかろうが、親しい友人で あろうがなかろうが、7通り前後の選択肢ができそこから選択することができます。 発想の転換で大切なことは、必ずしも状況に合った返事をする必要がないということ です。想像してみてください。あまり親しくない友人から「昨日彼女とケンカしたん だ。」と言われた時に「そんな時はまずぱぁ〜っと飲みに行こう。」と言って一緒に 飲みに行った場合、もしかしたらその人といい友人関係を築けるかもしれません。会 話の中で瞬時に7通りはなかなか難しいですが、2,3通りなら意識するだけでも できると思います。 2.「物事をより具体的に考えるようにする」  具体例として、まずざっくりとした目標を立てます。例えば「かっこいい人間」に なりたいという目標を立ててみます。では「かっこいい人間」とは具体的にはどのよ うな人間でしょうか?ここでは「引き締まった体の人間」と「知識のある人間」の2 つにしてみました。「引き締まった体」になるには1)ジョギングをする、2)筋力 トレーニングをする、3)食生活を改善する。「知識のある人間」になるには1)本 を読む、2)新聞を読む、3)仕事の勉強をする。  「どのような」や「どうしたら」などより深く掘り下げて考えていくとより具体的 になり、今自分が何をするのが最善かがみえてくるようになります。物事にはつなが りががあるので、一つの目標が達成されると別なところでいい事が起きる可能性が あります。「かっこいい人間」になる目標を達成する過程で、体を鍛えることによっ て健康的な生活が送れたり、知識を集めることによって話題が豊富になり、それに よって人間関係が円滑になったり広がったりするかもしれないということです。 3.「1つの事を多角的にみるようにする」  例えば便秘に悩んでいる方がいるとします。便秘の原因はなんでしょうか?(1)水 分不足、(2)食事量の不足、(3)薬(副作用)、(4)運動不足、が原因だとします。そ の原因全てを一気に改善しよう考えると気持ちがなえてしまうかもしれません。あく までも全てうまくいった場合の一例ですが、実は運動不足を改善するだけで全てが改 善します。運動をすればのどが渇き、お腹が空く。それで便秘が治れば下剤を飲む必 要がなくなり、便秘の原因になる薬を止める必要もなくなります。1つの物事だけで はなく関係のある他の物事に目を向ける。関係ないことにも目を向けてみるのもおも しろいかもしれません。  発想の転換に不正解はありません。一生懸命考えたあなたの発想には魂が宿りま す。この世に絶対ということはないと言う人がいますが、このことに関しては絶対で す。なぜなら、うまくいかなかったらうまくいくまで考えればいいのですから(笑)  ここまで様々なことを話しましたが、きっと腑に落ちないこともあったと思いま す。全く同じ考えを持った人間はいませんから、無理に合わせる必要はないと思いま す。ただ、批判や文句を言うだけでは道は開かれません。できれば自分なりの意見や 対案を持っ頂きたいです。それが自分なりの発想の転換の訓練に必ずなりますので。 【略歴】  2001 夏の高校野球新潟県予選のベスト8を決める試合で、左目に自打球を受け済 生会新潟第二病院に入院。二度手術を受けた。  2004 福祉の専門学校を卒業後、地元の社会福祉法人に採用され、グループホーム に配属。  2009 特別養護老人ホームに異動。 【後記】  彼が皆の前で、「目のケガから教えてもらったこと」という話をしている姿は、眩 しかった。  2001年夏甲子園大会の高校野球新潟県予選、彼がキャッチャーで6番打者の新潟県 立村上高校は、快進撃を続け40数年ぶりのベストエイトを決めた。地元の新聞(新 潟日報)でも大きく取り上げられた。  間もなく、その県高校野球のヒーローが、私の目の前に現れた。ベストエイトを決 めた試合で自打球を左眼に当て、外傷性黄斑円孔を伴う出血性網膜剥離を来たしてい た。外来にご両親と一緒にきて、診察したあと診断名を告げ、視力が元に戻ることは 困難であることを話した。その時まで明るく振る舞っていた、彼は人目をはばからず に涙を流した。  手術が終わり退院し10年が過ぎた今でも、年数回は当院に通院している。高校野 球のヒーローが一瞬にして病院のベット暮らしを経験し、将来の進路も変更しなけれ ばならなかったはずであるが、今では元気に介護職に励んでいる。  彼にはこれまで2度本勉強会で話をしてもらっている。困難な状況を乗り越えた彼 の話は人の心を打つ。今回も、ノートにびっしりと下書きして時間通りに話してくれ た。実に頼もしい非常に前向きな好青年である。今後、幸多かれと願っている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『済生会新潟第二病院眼科勉強会』  1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。 話題は眼科のことに限らず、何でもありです。  参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、 病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。  眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を 持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があ ります。      日時:毎月第2水曜日16:30〜18:00(原則として)      場所:済生会新潟第二病院眼科外来 *勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。  1)ホームページ「すずらん」   新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している   音声パソコン教室ホームページ   http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html  2)済生会新潟第二病院 ホームページ   http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html 【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会&研究会】  平成24年9月19日(水)   注:第3水曜日 17時開始です    『視覚障害児の目や見え方に関する講演会』     (兼:済生会新潟第二病院眼科勉強会)      会場:新潟盲学校会議室      時間:17:00 〜 18:30      要:事前登録    演題「様々な障害を持つお子さんを通して考えてきたこと」    講師 富田香 (平和眼科:東京)  平成24年10月10日(水)16:30 〜 18:00    「『眼の愛護デー』のルーツを探り、失明予防へ」       岩田 和雄 (新潟大学名誉教授)  平成24年11月14日(水)16:30 〜 18:00    「活力〜どうやって生み出すかをを考えてみませんか〜」       大島光芳 (上越市)  平成24年12月12日(水)16:30 〜 18:00     「障害者の就労支援」(仮題)       星野 恵美子 (新潟医療福祉大学社会福祉学科)  平成25年1月9日(水)16:30 〜 18:00   演題 未定   講師 石川 充英 (東京都視覚障害者生活支援センター) 以下、署名です *勤務先**************************** 950-1104 新潟市西区寺地280-7  済生会新潟第二病院眼科   安藤 伸朗 NoburoAndo,MD phone 025-233-6161 Fax  025-233-6220  e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/ ***********************************