シンポジスト〜清水 美知子 (埼玉県;歩行訓練士) 【コメント】  視覚障害者のリハビリテーション訓練のひとつである歩行(orientation & mobility)の訓練士の立場 から、ロービジョンリハビリテーションについて思うところをお話します.  一般にロービジョンリハビリテーションの主な内容は、次の三つといわれます。    1)低下した視機能の改善(機能障害の評価、光学的補助具の処方など)    2)生活上の不自由(読み書き、家事、外出など)の軽減    3)カウンセリング(視機能低下への適応上の心理的問題)  1)については、眼科で行われるべき内容ですので、施設によって程度の差はあっても以前から眼科で も行われていました.  2)および3)は、主に視覚障害関連の福祉施設で対応していましたが、そこでは長い間‘non-visual skills' を中心とした技能を教授する’ブラインド(盲)リハビリテーション’が主流で、保有視機能へ の配慮がなおざりにされる傾向がありました.  近年、一部の眼科で行われつつある「ロービジョンリハビリテーション」は、眼科で2)および3)の 内容まで関わっていこうというもので、医療と福祉のクロスオーバーととらえることができます.利用者 にとって医療と福祉という分野や制度の枠に関係なく、必要なときに必要なサービスが受けられることが 重要ですから、この状況は望ましいことであると思います.  ロービジョンリハビリテーションが、より望ましい形で行われるためには、各々の分野で、どのような 関わり方をしていけばよいのか、変わりつつある社会制度についても視野に入れながら考えたいと思いま す. 【略歴】  歩行訓練士として、   1979年〜2002年 視覚障害者更生訓練施設に勤務、            その後在宅の視覚障害者の訪問訓練事業に関わっている。   1988年〜新潟市社会事業協会「信楽園病院」にて                 視覚障害リハビリテーション外来担当。   2003年〜「耳原老松診療所」視覚障害外来担当。  http://www.ne.jp/asahi/michiko/visionrehab/profile.htm