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パラドックス的人生

 済生会新潟第二病院眼科で、1996年(平成8年)6月から毎月行なっている勉強会の案内です。参加出来ない方は、近況報告の代わりにお読み頂けましたら幸いです。興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。

案内:第239回(16-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会

演題:「パラドックス的人生」
講師:上林明(新潟市)
日時:平成28年1月13日(水)16:30~18:00
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
http://andonoburo.net/on/4266

抄録

 皆さんは、ご自分の人間としてのもっとも最初の記憶は、何歳くらいのどんな事柄かお思い出すことができるでしょうか?私にとっては、厳密には人生最先端とは言い難いのですが、5歳3か月、1949年9月16日未明に起きた、戸数48軒の集落の内、44軒がほぼ全焼に嘗め尽くされた大火災から、人生が始まったと言っても過言ではありません。

 真夜中なのに真昼のような明るさの炎、逃げ惑う人々の狂気の叫びと持ち出した家財の投下。漁村なるが故の船舶用燃料用ドラム缶の破裂による大音響と空高く燃え上がる火柱と炎熱地獄。それはそれは恐ろしい記憶ですが、本当の苦しみはその日以降に私の家族と私に襲い掛かってくる数々の難問と差別(東北地方の当時の障碍者差別は想像を絶するものがあった)に押し潰されそうな人生の始まりであり、その後の私の生き方に大きな教訓と示唆を与えてくれたものと思っています。

 生来勉強と努力が私に馴染んでくれなかったことで、理想や夢の大半を実現できないままに終盤の人生を迎えているのが実情です。ただ、渡辺和子先生は「置かれた場所で咲きなさい」と説かれましたが、誰かに連れてこられ、置かれた場所で安穏に暮らす視覚障碍者暮らしだけで終わりたくはない。むしろ私の趣味、吟詠の一説に「丈夫は玉砕するも甎全を恥ず」とありますが、晴眼者、障碍者に関わらず、皆でともに発達しあい、喜び悲しみを分かち合いつつ生きて行きたいと念じつつ、それらを実現すべく「リーダーを目指して」をモットーに今日まで明るく楽しく歩んで来たと思っています。
*「丈夫は玉砕するも甎全を恥ず」丈夫玉碎恥甎全(西郷隆盛)~立派な男子は、節義を守って死ぬことであって、つまらぬものとなって安全に生き残ることではない。

略歴

1944年、山形県西田川郡加茂町(現鶴岡市)の小さな漁業集落に、視力障害をもって生まれる。
1951年、山形県立鶴岡盲学校小学部入学。60年県立新潟盲学校高等部入学・65年卒。
1963年、按摩・マッサージ・指圧師免許、65年鍼師・灸師免許取得。同年柏崎市の植木治療院勤務。
1967年、新潟市山ノ下地区(現在地)に「上林鍼灸マッサージ治療院開業。94年より2年間(社)新潟県鍼灸マッサージ師会理事長。
1975年(昭和50年)、詩吟神風流に入門。現在詩吟神風流越水会会長。雅号「神天」県・市吟詠連盟理事。全吟連新潟県コンクール審査員。
 視覚障碍者山の会「新潟あいゆー山の会」会員。

ネット配信

 今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。
http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
 当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。

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